セカンド・オピニオン。
2度目の通院で打ちのめされた私。
しばらくすると、病院の先生に対する怒りがふつふつと沸いてきた。
冷静に考えればまったくもってお門違いの八つ当たり以外の何物でもなく、先生本当にごめんなさい!!!…と心の中で謝罪するのみなのだけど、その時は、診察の際の先生の言葉が冷たすぎでは?とか、もっとほかに言い方があるじゃないか!などという怒りを抱いてしまった心がありんこくらい小さい私・・・
後から思えばこれって【キューブラー・ロスによる5段階モデル(死の受容モデル)】てやつの段階をきっちりと踏んだ心の動きだったわけです。
否認 → 怒り → 取引 → 抑うつ → 受容
↑
いまココ
そんな私が次に取った行動は、「そんならほかの先生も診てもらおうじゃないの!」ってことで別の病院を訪ねてみることでした。
同じ新宿にある、脱毛専門外来のある病院の門を叩いてみた私。
診察室に入ると若い男性の先生でものすごーーーーく恥ずかしい…
が、そんなことは言っていられないので、患部をしっかりと診てもらう。
今まで別の病院で行った治療を伝えると「やれることは全部やっちゃっている」と。
抜け毛が収まるまで、どうしても6か月は様子を見ないといけない、と。だからそれまではつらいとは思うけど、時が経つのを待つしかない、と。
この若い男の先生の語り口が私に合っていたのか、何かすとんと腑に落ちるものがあり、素直に「そうか」と思えたのでした。
病気になったときにセカンド・オピニオンをとることが大切という話は耳にしたことがあったけれど、見つからなかった病気を発見してくれるということだけではなく、精神面でも落ち着くことがあるのだなぁ、と、とても貴重な体験をすることができたのでした。
このふたつめの病院にはその後通うことはなかったのだけど、この先生の「6か月は様子見」という言葉はその後何度も反芻し、気持ちを楽にしてくれたものとなりました。
通院2回目、無常の宣告。
2月の初通院後、1か月後に来てね、と言われたので3月に入ってから2度目の通院。
その間、つるっつるだったミステリーサークルがちょっとザラっとしてきたかも⁉などと思ったりする箇所もありつつ、相変わらずおそろしい量の抜け毛が続く日々…
入浴時はもちろんのこと、そのあと、ドライヤーをかける時が本当につらい。。
大量の髪の毛が白い洗面台に舞い散る様を目にすること、そしてそれをティッシュペーパーでまとめてふき取ること・・その一連の作業が本当につらい。
食生活を変えたり、鍼に通ったり、岩盤浴に行ってみたり、ビタミンを飲み始めたり…もうなんでもやってやる!という状態で日々を過ごす中での2度目の通院。そこで先生に言われたのは
「あぁー、かなり増えてるね。このままだとちょっとまずいかも」
という言葉……
抜け毛の量が多すぎてかなり追いつめられていたのだけど、それを言葉にして投げかけられたときの衝撃と言ったら…
先生いわく、円形の数が前回よりも増えていて、進行するとそれらがつながって大きな円形ができあがってしまいかねない、と。
それを改善するために、注射では追いつかないので1週間だけ強いステロイドを服用するように、ということで錠剤を処方される。
ステロイドを服用するのってなんとなくこわいな、と思いつつ、もう治すためなら何でもします!状態…
病院からの帰り道、体に力が入らず、歩みが進まない。。なんかドラマみたいだなぁと自分を外から眺めているもう一人の自分がいる感じを抱きつつ、新宿の雑踏をふらふらと歩いて駅に向かったのでした。
食生活を変えてみる。
鍼の先生の言葉に影響されて、さっそく玄米を買い込んだ私。
元々意志が弱く、飽きっぽくて何をやっても長続きしない弱い人間なので、自分を律するために手帳に記録を付け始めることにした。
手帳は岡キョン先生の、ほぼ日の。
昨年末に購入したこの手帳を、まさかこんな用途で使うことになるとはなぁー。
しかし、書くことで自分を律し、鼓舞しながらやっていくしかない!
そう思ってこの手帳を活用することにしたのでした。
じたばたする日々。
初通院の前、居ても立っても居られず、まず最初にしたことはシャンプーを変えることだった。
薬局に行き、抜け毛にいいとされているスカルプシャンプーに変えてみた。
だけど、今にして思えば、大量の抜け毛が発生している時期にシャンプーを変えても効果などあるはずもない。が、そのころは本当に居ても立っても居られない、という状況で、ネットで”抜け毛に効く!”というシャンプーを調べまくっていた。(そんなことをしていて夜更かしするなら、とりあえず寝ろ!が正解と今なら思えるが当時は必死だった…)
そして、その次に起こした行動が鍼に通うこと。
医学的見地からすると円形に鍼は効果なし、と言われているという情報は得つつも、血行を良くすれば抜け毛も改善するはず!と思ったから。
結果からいうと、3か月ほど通ったものの、1回8,000円(高!)という高額の割に効果が感じられず、私は続けることができなかった。3か月であきらめちゃだめだったのかな…でも、どんどん髪の毛が抜けていく日々の中で高額のお金をかけても効果がないということが切なすぎて私はだめだった…
だけど、鍼の先生から言われたことがとてもよくて、かなり影響を受けた。
というのも、2015年後半、仕事がかなり忙しく、連日深夜に帰宅する日々の中で、太りたくなかった私は、夜ごはんは鳥の手羽先と野菜をコンソメで煮込んだ野菜スープのみとすることが多かったのだけど、それを話すと「そんな食事じゃ全然足りてない!」と言われたのでした。
中医学では髪の毛は「血余(けつよ)」と言って、全身をめぐった血のあまりでできるものとされている、体に十分な栄養が行き渡っていなければ、頭まで血はめぐらず栄養がいかないのだからやせ細って当然だ、と。それを養うのに野菜スープだけでは足りない、だって髪の毛の元となるたんぱく質やアミノ酸が全然含まれていないじゃないの、と。
これにはガーーーンと衝撃を受けた。
影響されやすい私は、さっそく玄米を買い込み、すぐに食生活を改善することに決めたのでした。
初通院(その2)
初めての通院で【多発性円形脱毛症】と診断された私。
先生は、いくつかの治療方法を提示してくれた上で、私にどの治療法を選びたいか聞いてきた。
「ステロイド局所注射療法」
私は迷わずこれを選択。
すると、先生は「じゃ、今から注射打つ?」と聞いてきた。
一刻も早く治したい私は二つ返事で了承。
「痛いよぉーー、覚悟してね」と言われるが「痛みには強いので大丈夫です」とカワイゲなく言い張る私・・(きっと咄嗟にこういうリアクションが出ちゃうところが円形を引き起こした一因なのかもしんねぇなー、とか内心切なく思いつつ…)
でも、強がりではなく、私は注射はまったく苦手ではない。以前肌の調子が悪く数年間皮膚科に通っていた時期があり、毎週注射を打っていたので注射には慣れている。だけど、注射針が頭皮に刺されるなんて・・・それもハゲの治療のために・・・・
そう考えると、なんだかとてつもなく悲しく、情けなくなってきてしまって、うっかり落涙しそうになるのをこらえる。
「襟足は特に痛いからがんばって!」
・・・・って、ほんっとーーーに痛い!!!!
でも、これで治るなら!と耐える。このくらいなら耐えられる!
・・・だけど、病院を出て新宿の街を歩いていたら、もぉ悲しくて悲しくて、やはり涙がこぼれてきたのでした。
あのときのことは、きっと忘れられないだろぉなー、と、7か月経った今でも思います。
初通院(その1)
ミステリーサークル発見の日から2週間後。
ネットでいろいろと調べた結果、これは早期に病院に行かねばならぬと思い至り、脱毛外来のある病院に行ってみた。
悩んだのがどこの病院に行ったらよいのかという点。
都内在住なので東京の病院で検索すると、順天堂がいいという意見が多く見られたが、以前大学病院に行ったときに学生さんにずらっと取り囲まれてとてもいやな思いをした経験があるので、大学病院は却下。で、結局、新宿御苑前の病院に行ってみることにした。
円形脱毛症で病院に行くこと --- これはとても勇気のいる行動だった。
男の先生に症状を話すのが恥ずかしく、うっすらと汗が出る。
話すだけでも恥ずかしいのに、髪の毛をかき分けてミステリーサークルを見られるという屈辱…
だけど、治したくて来ているんだから、恥なんてかき捨てるしかないだろ!と自分に言い聞かせ、耐える。
先生はなぜこのような症状になるのか、どんな原因が考えられるのか、などを丁寧に説明してくれる。こんな紙を見せられ…
サークルは2個だとばかり思っていたら、実は4個あると言われ、私は【多発型】であると診断される。”治療に難渋する”と書かれた多発性…その診断はとてもとてもショックだった…。
ミステリーサークルを発見した日。
2016年2月1日に頭につるっつるのエリアを発見した私。
何気なく襟足を触ってみたら・・・
え!??つるっつる!?????
・・・慌てて洗面台の鏡のところに行き、後向きに鏡を当ててみた。
そうしたら、こんな状態。
(こんな写真をアップするのは憚られるけれど、これも記録なのでえいやっ!!)
なにこれ・・・・・・・
触ったとき以上の衝撃・・・
襟足の髪の毛が、ごっそりと抜け落ちてしまっていたのです。。。。
さらにもう一箇所。
右側の前髪のちょっと後ろあたり。
ここにももう一つ、円形の毛のない部分が見つかったのでした。
「なにこのミステリーサークル・・・・・・・」
深夜の洗面所で、そんな言葉が口をついて出てきました。。。。